このあと、マグニフィセント7各社すべてについて同じグラフをご覧いただくのですが、まずご注目いただきたいのは、営業・フリーキャッシュフローは縦軸が実数目盛りになっているのに、株価だけは対数目盛りになっているという事実です。

そして対数目盛りになっている株価は、ほとんどの銘柄がだいたい忠実に実数目盛りの営業キャッシュフローをなぞった動きをします。これが何を意味するかというと、株式市場は利益増加額を増加率に変換して受けとめるということです。

たとえば前の年に100万ドルの営業利益をあげた企業が今期10万ドル利益を増やせば、市場はこの企業は毎年10万ドル利益を上積みするとは思わず、毎年10%ずつ利益を拡大すると受けとめるのです。

1年や2年では同額の増益と同率の増益の差はごくわずかですが、3~5年、あるいは10~20年と期間が長くなるほどその差は大きくなります。

実際には毎年同額の利益増を達成することもむずかしいのに、市場は毎年同率の利益増を見こむわけですから、株価はほぼ慢性的に過大評価になります。

ほとんどの国の株式市場では、2~3年に1度くらいは主要な株価指数が3割前後の急落を演ずることによってこの差を埋めているのですが、アメリカ株のように2009年以降本格的な株価急落を経験していなかった場合は、2~3割の急落では済まず、長期にわたる大暴落になるでしょう。

それにしても、エヌヴィディアはいくつかの点で、マグニフィセント7の中でもかなり特異な銘柄と言えます。まず気がつくのが、この会社は営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローとの差がほとんどないことです。

これは、同社がいわゆるファブレス(無工場)製造業者で、詳細設計を下請けに出すだけで実際の製造から梱包・配送に至るまで全部下請け業者に任せているので、ほとんど設備投資を必要としない業態だということも大きく影響しています。

ただ、ファブレスであるからこそ研究開発(R&D)投資には真剣に取り組んでいるはずですが、その支出は自社従業員の賃金給与に繰り込まれているのか、営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローとの差となって出て来ることはないようです。