表面には同心円状の溝状地形が見られ、これは小惑星の衝突でできた最大半径7800kmの多重クレーターだと推測されているほか、表面の1/3は小型の小惑星が衝突したクレーターだらけです。
ガニメデは隕石地獄とでもいいたくなるほどガンガン小惑星にぶつかられている衛星だったのです。

それでもガリレオ衛星は安定した軌道で木星の回りを回っています。それぞれギリシア神話に出てくるゼウス(木星)の愛人やお気に入りの美少年という美しい雰囲気を漂わせながら、その実はそれぞれの衛星がとても恐ろしい世界なのでした。
地球のような惑星で暮らしていると、ちょっと想像がつかない激しさです。
低倍率の望遠鏡で観測していたガリレオも、ガリレオ衛星の名付け親であるシモン・マリウスも、その恐ろしさまではわからなかったでしょう。
もし知ったら驚くでしょうね。

天動説と地動説、それから『天体の回転について』
ちなみにシモン・マリウスはガリレオより早く4つの衛星を発見したと主張したドイツの天文学者です。しかし残念ながら、記録を見る限りではガリレオのほうが発見は先だったようです。
ガリレオ自身はこの4つの衛星を、トスカーナ大公とメディチ家の4兄弟に敬意を表し、「メディチ家の星々」と命名していました(当初はトスカーナ大公コジモ2世に敬意を表する「コジモの星々」だったが大公の提案で改名した)。

これを見ると、ガリレオがお世話になっていたトスカーナでは、大公に衛星の名を捧げても別に「地動説は異端ではないか!」と攻撃されているわけではありませんね。比較的厳しかったイタリアでもこれでした。