ギリシア神話ではゼウスの妻、ヘラの女官だったイオ(その後牝牛の姿にされた)ですが、ガリレオ衛星でのイオはそんなたおやかな存在ではありません。
ガリレオ衛星の中で一番木星に近いイオは、木星とラプラス共鳴によって極端な潮汐加熱を受けており、活発な火山活動が続いていることで知られています。
イオの火山の数は400以上で、中でもいくつかは硫黄と二酸化硫黄の噴煙を500kmの高さに達しています。地球上の一番大きな噴火、プリニー式噴火の噴煙の高さは10km以上となっていますが、イオはその50倍の噴煙が見られるということで、ちょっと想像を絶する規模ですね。
イオの表面は多くの溶岩流が流れ、硫黄、二酸化硫黄で覆われています。火山ガスの漂う地獄谷を遥かに超えた灼熱地獄。ガリレオ衛星地獄の一丁目なのです。

次、イオの次に木星から近いガリレオ衛星、エウロパです。
エウロパは一見、静かに見えます。灼熱地獄の次は氷結地獄。氷の衛星です。極低温の地表はひび割れた氷で、これは木星の潮汐力によって絶えず変形し続けています。氷の下の地下には広大な海が広がっていると考えられています。

3つめはガニメデです。これは太陽系にある衛星で最大で、独自の磁場を持っています。
独自の磁場を持つ衛星は太陽系で唯一の存在です。とても大きな衛星で、太陽系の天体の中でも9番目です。衛星の中で、じゃないですよ。天体の中で9番目なうえ、その半径は水星よりも大きいのです。
内部には地球より多くの水を持つ海があるのではと考えられていますが、地下は対流する鉄で、そのために磁場を持っていると考えられています。その磁場は木星の磁場に埋まっています。