ゲームのルールはシンプルで、画面に表示された「茂み」からベリーを収穫し続けるか、移動時間をかけて別の新しい茂みへ移るかを選ぶだけです。

ただし、同じ茂みから収穫を続けるとベリーの数は少しずつ減るように設定されており、一方で新しい茂みへ移動するには1秒または5秒の“待ち時間”が発生します。

参加者は「短い待ち時間」パターンと「長い待ち時間」パターンの両方を体験し、合計8分間でできるだけ多くのベリーを集めようと試みました。

さらに、プレイ終了後にはADHD(注意欠如・多動症)傾向を測る自己申告によるADHDスクリーニング(※スクリーニングとは、病気や特性の有無を簡易的に調べる検査のことです)テストを受けてもらい、そのスコアとの関連が分析されました。

結果として、多くの人はベリーが減りはじめてもなかなか茂みを離れず、「もう少しだけ取れるかもしれない」と思って長めにとどまる傾向が見られました。

しかし興味深いことに、ADHD傾向を示すスコアが高かった人ほど、茂みを早めに見切りをつけて別の場所へ移動することが多く、実際に最終的なベリーの獲得率が高かったのです。

最終的にADHD傾向が高い人は、オンライン実験の「茂み採食」タスクにおいて、累積報酬で約15%、1秒当たりの獲得率で約17%ほど多くのベリー(報酬)を獲得しました。

つまり、衝動的に動き回る性質がむしろ「早めに切り上げて、新しいチャンスを探す」行動につながり、より多くのベリーを得る結果をもたらしたと考えられます。

ADHDの優れた食料採集能力が現代社会で罠にはまっている

ADHDの人のほうが「食料採取能力」が15%も高かったと判明
ADHDの人のほうが「食料採取能力」が15%も高かったと判明 / ADHD傾向が高い参加者と低い参加者それぞれの“報酬率”の分布を示した図。 縦軸は参加者の数や割合、横軸は1秒あたりに得られたベリー(報酬)の量を表しています。 ADHD傾向が高いグループ(赤色やオレンジ色などで示されることが多い)ほど、右側の“高い報酬率”の領域に分布が寄っており、一方で低いグループ(青色など)はやや左寄りになっています。 この結果から、ADHD的特性を持つ人たちは同じ時間でも効率的にベリーを集める行動を取ることが多く、環境によっては有利に働く可能性が示唆されています。/Credit:David L. Barack et al . Proceedings of the Royal Society B (2024)