一方で、ADHD(注意欠如・多動症)は集中力が持続しにくい、落ち着きなく動き回るといった特徴が挙げられる一方で、「探索」や「新しい刺激への強い関心」という側面も指摘されています。

ですがもしADHDが単なる障害ならば既に淘汰されてしまっていてもおかしくないのに、多くの人々に現在も残っている事実は、こうした性質が一定の環境では「才能」として働く場面もあるのかもしれません。

特に、遊牧民のような生活様式を持つ集団でADHD関連遺伝子が高頻度に見られるという報告から、ADHD的特性が環境によっては有利に働く可能性があるのではないかという仮説が提示されてきました。

しかし、実際にADHD傾向のある人がどのように資源を探索し、報酬を得る行動を取るのかは十分に解明されていません。

そこで今回研究者たちは、オンラインの「茂み採食タスク」を使い、資源の枯渇と移動コストをあえて設定した条件のもとで、ADHD自己申告スコアとの関連を徹底的に調べることにしました。

食料採取実験で明らかになったADHDの探索力

ADHDの人のほうが「食料採取能力」が15%も高かったと判明
ADHDの人のほうが「食料採取能力」が15%も高かったと判明 / ADHD傾向が高い参加者と低い参加者での“茂み滞在時間”を比較したグラフ。 横軸は移動時間(短い条件と長い条件)、縦軸は1つの茂みにどれだけとどまったかの平均時間を示しています。 棒グラフや箱ひげ図の形で示されているように、ADHD傾向が高い人は茂みを早めに切り上げる傾向があり、特に移動時間が短い条件下でより顕著です。 この早期移動が最終的な高い報酬率につながっていると考えられます。/Credit:David L. Barack et al . Proceedings of the Royal Society B (2024)

今回の実験では、アメリカ在住の一般成人457名がオンラインで「ベリーを摘むゲーム」に参加し、どれだけ効率よくベリー(報酬)を集められるかを競いました。