それでも、研究チームは量産化に向けた糸口を見出しているとされ、企業や研究機関が協力することでプロセスの効率化が進めば、より手頃なコストで合成ダイヤモンドを大量に供給できる未来も夢ではありません。
また、素材自体の可能性をさらに広げる研究も進んでいます。
高温下でも結晶構造を保つ性質は、高真空や極低温、放射線環境などの過酷な条件下での利用をも視野に入れ、宇宙開発や先端センサー技術などへの応用が期待されます。
加えて、炭素という多彩な結合形態を持つ元素を使った新しい材料設計が進めば、六方晶ダイヤモンド以外にも超硬度かつ高機能な物質が生まれるかもしれません。
このように、六方晶ダイヤモンドが私たちにもたらすインパクトは大きく、今後の研究や技術開発次第では、既存の産業構造を変える可能性すらあります。
夢物語に思えた“天然ダイヤモンドを超えるダイヤモンド”が、ついに実用段階へ一歩近づいた今、素材科学の新時代を目の当たりにしていると言えるでしょう。
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元論文
General approach for synthesizing hexagonal diamond by heating post-graphite phases
http://dx.doi.org/10.1038/s41563-025-02126-9
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部