通常の天然ダイヤモンドは、真空などの特殊環境では比較的高温にも耐えられますが、大気中で扱う場合には900℃程度を超えると分解や酸化が進みやすくなるといわれています。

対して、合成された六方晶ダイヤモンドでは1,100℃まで結晶構造を保ったという報告がなされており、産業上の高温プロセスにそのまま応用できる可能性も高まっています。

このような高い硬度と熱安定性の組み合わせは、切削・研磨工具などの従来用途にとどまらず、高温環境での部品素材や半導体分野の基板、さらには宇宙開発など極限環境での活用に多大な期待を抱かせるものです。

炭素という身近な元素が、結晶構造を変えるだけでここまで大きく性質を変えるという事実は、素材科学の奥深さを改めて示唆しています。

今後の研究次第では、この六方晶ダイヤモンドがハイスペック材料としてさまざまな分野に浸透していく可能性があるでしょう。

応用分野と今後の展望

応用分野と今後の展望
応用分野と今後の展望 / Credit:Canva

六方晶ダイヤモンドが示す突出した硬度と耐熱性は、さまざまな分野に応用できる可能性を秘めています。

まず、もっとも実用性が高いと考えられるのは、ドリルビットや切削工具などの切断・研磨用途です。

従来の天然ダイヤモンド以上の性能を期待できることで、高硬度材料の加工効率や精度が飛躍的に向上する可能性があります。

さらに、高い熱伝導性を活かして半導体の基板や放熱材として利用することも視野に入っており、スマートフォンやパソコンなどの電子機器の信頼性向上や小型化に役立つかもしれません。

一方で、六方晶ダイヤモンドを大規模に生産するためには、強力な高圧と高温を生み出す装置やプロセスをどのように拡張・改良していくかが大きな課題となります。

実験室スケールでの成功は今回大きな一歩ですが、コストや生産速度などの要素をクリアしなければ、商業ベースでの量産化は難しいでしょう。