ところが近年、中国の複数の研究機関を中心とするチームが、グラファイト(黒鉛)を高圧・高温下に置き、約1,800K(摂氏1,500度以上)まで加熱することで、この六方晶ダイヤモンドを人工的に合成することに成功しました。
これまでの挑戦では、“大きさ”と“純度”の壁に阻まれ、実用を見据えた量産化への道は遠いと考えられていました。
しかし今回、ミリメートルサイズかつ高い結晶純度を達成し、理論として語られるだけだった六方晶ダイヤモンドの特性をより正確に評価できる段階まで研究が進歩したのです。
合成のポイントは、従来の実験が想定していた条件よりもさらに強い圧力をかける点にあります。
そうすることで、黒鉛が「ポストグラファイト相」と呼ばれる特別な状態を経由し、より安定した六方晶構造へと変化しやすくなるのだといいます。
研究グループはこの手法を詳細に分析し、六方晶ダイヤモンドがいかに生成されるかを分子レベルで確認するとともに、大量生産に向けたスケールアップの可能性も示唆しました。
これらの成果は、六方晶ダイヤモンドがもはや“稀少な理論上の物質”にとどまらず、実際に新素材として活用しうる未来が見え始めたことを意味しています。
驚異的な硬度と高温安定性

今回合成された六方晶ダイヤモンドの大きな特長は、「天然ダイヤモンドを上回る硬度」と「高温環境下での安定性」という2点に凝縮されます。
そもそも天然ダイヤモンドの硬度は、ヴィッカース硬度で70~110 GPaほどとされていますが、六方晶ダイヤモンドでは155 GPaという値が報告され、理論的に想定されていた“さらなる硬さ”を実証する結果となりました。
炭素原子が六角形の格子構造をとることで、立方晶に比べてわずかに強固な結合を形成できるのが理由だと考えられています。
また、熱に対しても驚くほど高い安定性を示すことが今回の合成ダイヤモンドを際立たせています。