従来の天然ダイヤモンドでも十分に硬いとはいえ、産業界では常に高精度かつ高効率の加工や極限環境下での部品寿命の向上が求められてきました。

また、半導体の性能を支える基板素材としての利用や、より高温でも安定して機能する材料への需要が高まり、ダイヤモンド以上の物性を持つ物質が待望されていたのです。

その背景には、地球深部や惑星内核などの“極限環境”における鉱物形成プロセスを模倣・応用し、炭素を多彩な形態に変化させられるようになってきた最新の研究動向もあります。

こうした研究が進む中で見いだされてきたのが、従来の立方晶とは異なる結晶構造を持ち、「六方晶ダイヤモンド」や「ロンズデーライト」と呼ばれるダイヤモンドの新しい可能性です。

自然界では極めて稀少であり、高純度・大サイズのサンプルを得ることも難しいとされていた六方晶ダイヤモンドの合成が、もし実用レベルまで達すれば、これまで人類が手にしたどの物質よりも優れた硬度や耐熱性を持つ革新的な材料になるかもしれません。

だからこそ、“ダイヤモンドの硬さ”を改めて見直し、それを超える材料開発が今、大きな注目を集めているのです。

新たに開発された「六方晶ダイヤモンド」の概要

新たに開発された「六方晶ダイヤモンド」の概要
新たに開発された「六方晶ダイヤモンド」の概要 / Credit:Canva

一般に「ダイヤモンド」と聞くと、立方晶(キュービック)の結晶構造を思い浮かべる人がほとんどかもしれません。

しかし、炭素がつくる結晶構造のなかには、六角形をベースにした「六方晶ダイヤモンド(ヘキサゴナルダイヤモンド)」と呼ばれる別種の形態も存在します。

六方晶ダイヤモンドは、1960年代に隕石衝突跡から極めて微量に発見され、「ロンズデーライト(lonsdaleite)」として学術的に報告されて以来、その存在意義が取り沙汰されてきました。

理論的には、立方晶ダイヤモンドよりもさらに高い硬度を持つ可能性が示唆されていたものの、これまで入手できる試料はごく小さく不純物も多かったため、実験による確認が困難だったのです。