また、いわゆるシェール革命以来、アメリカは石油もガスも世界トップレベルの生産国となったが、環境問題など顧慮せずに、そうした国内資源を活用することで、彼らの生活も助かる。特に車が手放せない米国では、安いガソリンは中低所得者たちにとって必要不可欠なものだ。

あと言うまでもないが、ウクライナや中東での停戦促進も、各国に防衛費増と防衛負担増を迫る圧力も、アメリカ政府の政府支出を削るという文脈が大きい。

このように、私見では、トランプの「一帯水浸し」(flooding the zone)とも言うべき大改革は、中低所得者への寄り添いを軸に考えると色々なことを繋げて理解でき、極めて分かりやすくなると感じている。トランプ氏の各種政策の根底・基底にあるのは、典型的白人アメリカ人低中所得者層への徹底した寄り添いだ。

3. トランプ改革の更なる深い理解

では、なぜ、トランプ氏は、ここまで白人の中低所得者に寄り添い、彼らの生活を必死に守ろうとするのか。私はその更なる本質は、トランプ氏がアメリカの「本性」とも言うべきものをそこに見出しているからだと思う。つまり、トランプ氏は筋金入りの「保守」であるわけだ。

これまでの所業や所作を考えると、トランプ氏自身が真に敬虔なクリスチャンであるかどうかは議論があるところだが、少なくとも、数次にわたる暗殺騒動を潜り抜けた自らを神に選ばれし存在であると考えていることは間違いないと思われ、その彼が今こうして踏みしめているアメリカという国は、特に神に選ばれた場所であると特別に感じていることは明白であろう。

中東問題で異様にイスラエル寄りのスタンスを示していることとも、トランプ氏の信じるキリスト教の歴史を紐解くまでもなく、そのことと無縁ではないように思う。

この神に選ばれしアメリカという土地・国家について歴史を紐解きながら考えると、トランプ氏は、上記の宗教観以外に、主に以下の二つのアメリカの「本性」とも言うべき価値観を意識的・無意識的に大事にしているのではなかろうか。