加えて、不良が持つ“自由と冒険”のイメージは、束縛や安定を求めない遊び心ある恋愛スタイル、いわゆる“ルーダス型”とも深く結びつきます。
これは、長期的なパートナーシップよりも、刹那的で刺激的な体験を追い求める人々に好まれるスタイルです。
そのため、不良のような支配的な男性とのスリリングな関係は、高いレベルの刺激を望む女性のニーズを満たすと考えられます。
新しく型破りな相手との出会いや、平均的な生活の中では得られない体験を重ねることで、大きな情熱、感情の起伏、そして強烈な刺激を得られる可能性が高まるのです。
このように、女性が「不良」に心惹かれる根底には、あえて危険や非日常に触れてみたいという強い欲求や、自分自身の価値をより大きく感じたいという動機が潜んでいると考えられます.
ただし、「不良」を好きになる女性の性格特性は十分に解明されておらず、特に非現実のキャラクターに対する研究は限られています。
そこで今回、ドイツのヴィュルツブルク大学は、映画やドラマなどの非現実世界に登場する不良キャラと現実の女性の関係に焦点を当て、調査を行うことにしました。
実験データで見る“不良”への愛情

謎を解明するため、研究者たちはまずオンラインアンケート調査を実施しました。
対象となったのは、実際に「お気に入りの不良キャラ」を挙げることができた女性47名です。
彼女たちには、自己愛(ナルシシズム)、遊び的恋愛観(ルーダス)、刺激追求(センセーション・シーキング)、ヘルパー衝動など、人格特性を測定する質問が行われました。
また、フィクション上のキャラクターに対する一方的な恋愛感情を示す「ロマンティック・パラソーシャル・リレーションシップ(RPSR:以下架空恋愛と表記)」の強さも評価されました。
さらに、「自尊感情(セルフエスティーム)」「自分が持つ力の感覚(パワー感)」「自由度(オートノミー)」「作品視聴後に空想がどれほど続くか(RII)」などの心理的側面についても質問されました。