男性的で支配的かつ魅力的な男性と関係を持ちたいという願望や、物語の途中で「不良少年」や「不良男性」が改心していくのであれば不道徳な行為を容認するという心理傾向は、犯罪者に惹かれる女性を分析した調査でもすでに知られた現象です。

こうした結果は、あえて危険な相手に魅了される女性が、決して特別珍しい存在ではないことを示唆しています。

さらに、不良との関係が女性にとって魅力的な理由の一つとして、“自尊心を高める機会”が何度も得られる点が挙げられます。

自己愛(ナルシシズム)の特性を持つ女性にとっては、こうした関係が一層魅力的に映る可能性があります。

人は他者を助ける行動を通じて自尊心を高めるため、“助けを必要としている人物”として不良や犯罪者を捉える女性ほど、彼らをより強く意識する傾向があります。

物語の中の不良は、往々にして「不遇」や「不運」であることが多く、助けるポイントが数多く存在します。

分かりやすい「助けポイント」としては、「誰も自分のことを理解しようとしてくれない」、「出自のせいで周りから疎まれている」、「怪我を負っても誰も助けてくれない」などが挙げられるでしょう。

実際、犯罪者との交際を調査した研究では、「私が彼を支えている」という充足感を得やすく、通常の関係以上に自尊心を満たしうると報告されています。

社会心理学では、こうした解釈が主流となっています。

さらに、不良の人生において「唯一の女性」であるという感覚も、女性の自尊心を大きく高める要因であることが報告されています。

不良はしばしば力強いだけでなく、独自のポジションや権力を保持している様子が描かれており、そのような人物を「唯一」と特別視することは、女性に優越感と権力感を与える可能性があります。

たとえばヤクザの親分の妻が配下の子分から「アネサン」と呼ばれて特別視されていることは、よく知られています。

この「アネサン」は、組織の運営や抗争の戦力として直接機能していない場合でも、時として大きな影響力を発揮します。