具体的には、「2つの粒子がぶつかって4つの粒子ができる」という計算と、「2つの粒子がぶつかって1つの粒子と別の粒子ができる」という計算が、並べ替えだけで似た形になるという驚きの事実です。
これが「対蹠双対性」の核心部分であり、「まさかこんなところで2つの反応がつながっているなんて!」と研究者たちは驚きました。
素直に信じきれなかった研究者たちの中には何千、何万というたくさんの項を比較し、何千回、何万回と再計算を繰り返しましたが、それでも対応が崩れなかったため、「これはただの偶然ではない」と確信されるに至ります。
ちょうどDNAの配列を読む順番を逆にしてみたら、まったく別のタンパク質の情報が浮かび上がる──そんなイメージを抱いていただけると、この発見の衝撃が伝わりやすいかもしれません。
つまり、粒子の衝突結果には、まだ私たちが気づいていなかった深い共通の仕組みが隠れている可能性がある、ということが示されたのです。
(※他にも「アンプリチュヘドロン(amplituhedron)」という、散乱の確率をまるでポリゴンや立体の体積のように捉える手法も開発されています。簡単には説明しきれないほど奥が深いのですが、いずれにせよ、複雑きわまりない素粒子の世界で「思いがけず同じパターンが共有されている」のを見つけたのは、とてもエキサイティングな出来事でした。)
なぜ対蹠双対性のような不思議な一致が起こるのか、どんな数学や物理法則がその根本にあるのかは、まだ十分に解明されていません。
それでも多くの研究者が「ここに新しい扉がある」と信じ、計算精度を上げたり理論を拡張したり、哲学的な視点を取り入れたりしながら、この謎を解き明かそうとしています。
もしこの先、対蹠双対性を含む“隠れた共通構造”が大きく花開けば、それは私たちの宇宙観そのものを根底から見直すきっかけになるかもしれません。
いまだ正体不明のこの“共通構造”を探る道は、素粒子物理学の冒険の中でも最もエキサイティングな領域の一つと言えるでしょう。