実際、全く無関係の現象の相関係数を調べた場合でも、誤差によって「0」以外の結果が得られることがほとんどです。

(※相関係数が低くても絶対に無関係というわけではありません)

そのため、低い相関係数でも関連性を主張したい場合には別途、誤差ではないことを示す別の証拠が必要となります。

相関係数0.4~0.6の場合「中程度の相関」

相関係数0.4~0.6の場合「中程度の相関」
相関係数0.4~0.6の場合「中程度の相関」 / Credit:川勝康弘

上の図の左から相関係数0.4、0.5、0.6となるグラフを示しています。

このあたりになると、多少なりともポイントたちの偏りが見て取れるでしょう。

実際、一般的には0.4を挟んで「弱い相関」から「中程度の相関」へと評価が変化します。

(※分野によって評価基準が異なることがあります)

ただ中程度の相関といっても、かなりのバラつきがあることに注意が必要です。

相関係数0.4でも、かなりのバラつきがある
相関係数0.4でも、かなりのバラつきがある / Credit:川勝康弘

たとえば0.4のグラフの場合。

X軸の値が0のときには、Y軸の値は-2から+2へかけて、つまりグラフで表示されているY軸範囲の過半に分布していることがわかります。

この結果はX軸に設定した、最もありふれた数値(中央値や平均値付近)でも、Y軸の数値の予測がかなり困難で、あまり参考にならないことを示しています。

0.4が弱い相関と中程度の相関の境目とされている理由は、このあたりにあると言えるでしょう。

相関係数0.5や0.6はより左下から右上という傾向が強くなっていますが、それでもバラつきは大きくなっています。

統計的には何らかの相関がみられても「個々のケースでの判断基準にするのは少し怖い」というのが中程度の相関に対する「感想」と言えるでしょう。

現実世界において、この範囲が該当する相関係数は非常に多く、例としては、自己肯定感と学業成績(0.4~0.6)、職場の満足度と生産性(0.4~0.6)、テレビ視聴時間と肥満度(0.4~0.6)、親の教育水準と子供の学業成績(0.4~0.6)、ストレスレベルと身体的健康(0.4~0.6)など多岐に及びます。