しかも代々木スタジアムについては、1928年アムステルダム五輪の三段跳びで日本陸上競技初の金メダルを獲得した織田幹雄氏の名を冠した「織田フィールド」跡地に建設される予定とあって、陸連(日本陸上競技連盟)が陸上トラックの設置を“決して譲れない条件”として首を縦に振らない強硬姿勢を崩していないという。
サッカー界と陸連とのせめぎ合いはJ発足以来続いているが、稼働率を考えれば陸上トラック付きの方に軍配が上がるのは必至であり、自治体もそちらの方になびくのも致し方無いところだ。自治体も「サッカースタジアムを建設するカネがあるなら、老朽化によって陥没事故まで起きた上下水道の整備に回せ」と納税者から要求されることも百も承知だ。
ならばクラブ自前で専用スタジアムを建設するしかないのだが、サポーターの新スタ要望は自治体へ向かい、なぜかクラブの親会社に向かうことはない。
なにもJクラブ全てに長崎の真似をせよとまでは言わない。しかし、計画段階ではJ3中位にいた今治の例は大いに参考に出来るのではないだろうか。
税金で建てたスタジアムを減免された施設使用料で使わせてもらっていながら、「ピッチが遠い」と文句を言う前に、クラブもサポーターもするべきことがあるはずだ。自前でスタジアムを建て、そこに賑いの空間を創出し、憩いの場を市民に提供してこそ、Jクラブが公共財と認められるのではないだろうか。