元々、浦和の前身の三菱重工業サッカー部はJリーグ立ち上げの際、読売クラブ(現東京ヴェルディ)とともにホームを東京にしようとギリギリまで粘ったものの、川淵三郎初代Jリーグチェアマンに蹴られ続け、縁もゆかりもない浦和市(現さいたま市浦和区)に“飛ばされた”形となり、駒場スタジアムをホームに定めた経緯がある。
現在、クラブは浦和の街にしっかりと根を降ろし、社会インフラといっても過言ではない存在感を示している。仮に浦和が埼玉スタジアムを捨て、浦和区内での新スタジアム建設に挑もうとするならば、約4兆6,571億円(2023年度)もの連結売上収益を誇る三菱重工業と、サポーターの力があれば可能に思える。その収益力はジャパネットたかたの比ではない。問題は土地の取得だが、買収ではなく借地権の形を取ればクリアできよう。

他に自前の新スタ建設が現実的なクラブは?
そもそも柏や磐田がなぜ自前のスタジアムを所有しているのかといえば、親会社が所有する土地があったからだ。現在、柏スタジアムがある場所は、かつて日立グループの社員が集い運動会が開かれていたグラウンドがあり、ヤマハスタジアムがある土地は、ヤマハ発動機本社工場の敷地内である。
柏については一時、柏市主導で柏の葉公園総合競技場への移転計画が持ち上がったが、サポーターの猛反発に遭い引っ込めざるを得なくなった。キャパシティーの違いはあるものの、今となってはサッカー専用スタジアムから陸上トラック付きの競技場への移転を断固として認めなかった柏サポーターの判断は正しかったといえるだろう。ヤマハスタジアムについても、ジャパンラグビーリーグワンの静岡ブルーレヴズと共用している。
ジャパネットたかたとの比較で言えば、町田ゼルビアのオーナー企業・株式会社サイバーエージェント(年商約8,000億円/2024年9月期)、鹿島のオーナー企業・株式会社メルカリ(年商1,900億円/2024年6月期)、FC東京のオーナー企業・株式会社MIXI(年商約1,500億円/2024年3月期)、清水エスパルスのオーナー企業・鈴与グループ(年商約1,600億円/2024年8月期)、SC相模原のオーナー企業・DeNA(年商約1,300億円/2024年3月期)、ヴィッセル神戸のオーナー企業・楽天グループ(年商約5,600億円/2024年11月期)などがこれに迫る。