Peace Stadium connected by SoftBank 写真:Getty Images

J2リーグに所属するV・ファーレン長崎の新本拠地「PEACE STADIUM Connected by SoftBank」が、昨2024シーズンから本格運用され活況を呈していることで、他のJクラブの本拠地でも「我が街にもサッカー専用スタジアムを!」という声が上がっている。

しかしそのほとんどが自治体に対する要望であり、税金を投入することを求める“おねだり”に過ぎない。サッカーに興味などない一般市民にとっては単なる“箱もの”に過ぎず、そこに血税が使われることについて反発が起きていることも確かだ。

ここでは自前でホームスタジアムを建設させることに成功した長崎、FC今治などの例を参考に、そのメリットを提示し、逆になぜ自治体がサッカー専用スタジアム建設に二の足を踏むのかを検証。今後の展望を示していきたい。


高田旭人氏 写真:Getty Images

長崎と今治の自前スタジアム

長崎の場合、通販大手の株式会社ジャパネットたかた、株式会社V・ファーレン長崎を傘下に収める株式会社ジャパネットホールディングスが約1,000億円を投じ、JR長崎駅近くの東京ドーム約1.5個分にも及ぶ土地を取得した上でサッカースタジアムのみならず、プロバスケットボールBリーグ・長崎ヴェルカの本拠地「ハピネスアリーナ」やホテル、商業施設などを併設した「長崎スタジアムシティ」を完成させた。

ジャパネットHDは非上場企業だが、高田旭人社長兼CEOは自らグループ全体の売上高を2,621億円(2023年12月期)と明かしている。そのうち長崎スタジアムシティでの年間売上を、グループ全体の約5%にあたる約100億~150億円と見積もっており、25~30年間での回収を見込んでいるという。単なるサッカースタジアム建設のみならず、1つの“街”を作ることによって投資に見合う回収をしようと、キチンとそろばんを弾いている。