今後の台湾向け武器売却について、今回の声明で明示された米国の方針は「台湾関係法」と何ら矛盾しないものである。武器売却は同法に従って継続され、また中国政府が台湾問題に向けて平和的姿勢を続けるという期待の下に継続される(中略)。当問題に関する米国政府の立場は常に明確であり一貫している。台湾問題は、台湾海峡の両側の中国人によって解決されるべき問題である。この問題に関して米国は干渉する意思もなければ、台湾人民の自由な選択を阻害したり、圧力をかけたりすることもない。

横道に逸れるが「上海コミュニケ」でもここでも、米国は「両側の中国人」と述べている。が、そのことが既に時代に合わない理由を、前掲した23年9月の拙稿に書いたので参照願う。

さて、前掲書には前記の書簡と共にレーガンが発した、国務長官と国防長官の署名入りの極秘大統領令の内容もこう記されている。

・・・このコミュニケの署名に至る交渉は、次のことを前提として進められた。武器売却の削減は台湾海峡の平和次第であること、そして台湾問題の平和的解決を目指すという中国政府の「基本方針」が継続されているかどうかで決まることだ。

つまり、米国が台湾に売却する武器を削減するには、中国が台湾との相違を平和的に解決すると確約していることが絶対条件なのである。これら二つの事項の結びつきが米国の外交政策にとって恒久的な必須条件であることは明白である。

さらに、台湾に供給される武器の質と量は、すべて中国による脅威に応じて決定される。台湾の防衛能力は、質・量の両面において、中国の防衛能力に応じて維持されることになる。

ニクソンとキッシンジャーが道を開いた米中国交正常化が、疲弊した両国(中国=文化大革命と中ソ国境紛争、米国=ベトナム戦争)が、ソ連の覇権を牽制する目的で一致した結果であることは良く知られている。そうした背景もあって、「両岸の平和的手段による解決」という文句が終始これでもかとばかり謳われている。