台湾外交部は「米台関係に前向きな姿勢」として、これを歓迎した(19日の『産経』主張)。が、どちらかといえば反民進党の前掲『聯合報』は、この変更は注目に値するが「過度に解釈する必要はない」と冷静だ。筆者も同感である。
確かに、台湾シンパのルビオ国務長官は、初の外遊先に台湾との国交を維持しているグアテマラを選び、「同国・米国・台湾の外交上における関係強化に努める」と述べ、台湾を「民主国家」と呼んだ。が、ルビオの主たる目的は、親台湾のジャマテイ大統領から代わったアレバロ大統領に、米国が強制送還する不法移民受入れの同意を求めることにある。
要すれば、国務省が「FS」の文言を変更しようが、ルビオが台湾を「民主国家」と呼ぼうが、トランプ大統領が「台湾の独立を支持する」と述べた訳ではない。何より「両岸」に関する米国の方針が一貫して、「台湾関係法、3つの共同声明、6つの保証を指針とする『一つの中国』政策」の維持にあることを忘れてはならない。
それよりも筆者は、新たに「FS」に付け加えられた「一方的な現状変更にも反対する」「両岸の相違が・・強制のない平和的手段によって解決されることを期待している」との文言の方が、「平和と団結の使者」を標榜する「2.0」のトランプの、ノーベル平和賞を目指す気持ちに沿う、と考える。
この「平和的手段による解決」については、23年9月の拙稿「両岸問題の平和的解決が前提:日米の対中国交樹立」で、米中の「3つの共同声明」及び「日中共同声明」が「平和的解決」についてどう書いているかについて触れ、これが「キーワード」と書いた。以下に改めてその要点を述べる。
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先ず「一つの中国」政策と「台湾関係法・3つの共同声明・6つの保証」について述べれば、米国の「一つの中国」政策は49年10月1日の共産中国成立以来、一貫して不変である。そしてそれは、決して中国の台湾への主権を認めている訳ではない。72年2月の「上海コミュニケ」で米国はこう述べたのである(日本外務省仮訳)。