JAMAの論文です。この論文では、23種類の有害事象がSCRIデザインの手法(リスク期間とコントロール期間の発生率を比較する手法)で分析されました。リスク期間は接種後1~21日(グラフ:A)でした。次に、心筋炎のみが補足解析されました。 リスク期間は接種後0~7日(グラフ:B)でした。

問題は、最初の分析で、リスク期間を、接種後0~20日ではなく、 なぜ接種後1~21日にしたかという点です。

グラフを見れば一目瞭然ですが、急性期に発症する有害事象の場合には、リスク期間に接種後0日を含めた方が有意差が認められる確率が高くなるわけです。論文には、最初の分析で接種後0日を含めなかった理由は全く記述されていませんでした。

もし、最初の分析で接種後0日を含めて分析しますと、23種類の有害事象のどれかで有意差が認められていたのかもしれません。その事実を隠蔽するために、リスク期間に接種後0日を含めなかったことが推測されます。

これはあくまでも推測であり、本当のことは論文の著者にしか分かりません。隠蔽の疑惑を持たれないためには、不自然なリスク期間の設定をするべきではありません。

バイアス補正が不十分なことを指摘することも有用

全身状態の悪い人の割合に関するバイアスは、一流雑誌に掲載された論文でも必ずしも補正されていません。Takeuchiらの論文においては、このバイアスを補正するために診療報酬明細書を用いました。しかし、明細書には病名は記載されていますが、その重症度は記載されていません。そのため、バイアス補正は十分とは言えません。そのため、この論文では、接種群の死亡率は未接種群の死亡率の約4分の1という実に奇妙な結果となりました。

接種群ではコロナワクチンによる死亡が少ないから死亡率が低くなったのではなく、接種群において全身状態の悪い人の割合が小さいため死亡率が低くなった可能性があるわけです。この問題も英語論文で指摘しました。