PMDAがシグナル検出を実施しているようなのですが、そのデータはほとんど公表されていません。 2022年1月末時点のデータ分析が公表されているのみです。オミクロン株以降の日本においてのコホート研究は実施されておりません。日本の高齢者医療の在り方は欧米とは異なるため、欧米のデータを用いた疫学的分析のみでは根拠として不十分です。日本においての重大な懸念の有無を問題にしているわけですから、日本のデータを用いた分析が必須です。
したがって、厚労省の「重大な懸念はない」という主張の根拠は全く不十分です。厚労省は、「専門家による審議会の検証によるものだ」と説明していまが、その具体的な根拠を明らかにするべきです。
どうすれば厚労省の判断を覆すことができるのか?
審議会の判断の根拠を厚労省に質すことが一つの方法です。更に言えば、PMDAで実施された2024年~2025年のデータ分析の有無を質問することも有効です。具体的な分析結果が提示できなければ、科学的根拠もないのに厚労省は、「重大な懸念はない」と主張していることになります。審議会のメンバーがどれだけ優秀な人であったとしても、日本のデータを用いた疫学的分析をせずにリスクを判断することはできません。
他の方法としては、レベル3以上の日本においてのエビデンスを厚労省に突き付けることです。しかし、これは容易なことではありません。「接種群の死亡率と未接種群の死亡率を比較すればよい」と主張している人もいますが、バイアスが適切に補正されていませんと、比較しても意味がありません。
コロナワクチンでは、「全身状態が悪い人には接種しない」ことが推奨されました。しかし、このことがどの程度まで遵守されたのかは調査されていません。したがって、全身状態の悪い人の割合が各群で何%なのかは不明なのです。この割合が不明な状態で、死亡率を比較しても何の意味もありません。何故ならば、全身状態の悪い人の割合が大きい群の方が死亡率が高くなる蓋然性が高いからです。この問題は、以前の論考で解説しました。