エリートに対する反発の大きな原因は・・・これはトランプへの投票にあらわれていますし、ヨーロッパでも似たような人物への投票に見られますが・・・労働者や大卒でない人たちの多くが、エリートに見下されている、自分たちの仕事の価値をないがしろにされている、という感覚を抱いていることです。 これは先程お話した、主流派政党が不平等を主に高等教育による個人の社会的向上を通じて解消しようとしてきたことにも関係しています。われわれはまず、個人が高等教育を受けて社会的に地位向上することが不平等解消の正解ではない、と認識することからはじめるべきです。そして、ドナルド・トランプやマリーヌ・ル・ペンのような人物を厳しく批判しているわれわれみんなが、高学歴エリートに対して労働者や大卒でない人たちの抱くまっとうな不満を真剣に受け止める必要があります。

(この後、高等教育に対する公的支出に比べて、職業訓練に対する補助がいかに少ないかという事実を述べる・・・中略)

われわれの社会は少なくとも暗黙のうちに、身近な意味での仕事・・・介護士であれ、電気技師であれ、配管工であれ・・・をしている人たちを集団で侮辱しているのです。なぜその人たちの職業訓練には、専門職階級予備軍への投資と同等の投資がおこなわれていないのでしょうか? 実は、不遇な立場におかれているマイノリティへのさまざまな偏見について、社会心理学者数名が実施した調査があります。まずヨーロッパ、それからアメリカで、一般に冷遇されているマイノリティのリストが回答者に配られました。その結果、回答者が最も好ましくないと答えたのが、低学歴のグループだったのです。 つまり、学歴偏重主義こそが最後まで容認されている偏見といってもいい。他の偏見がなくなったわけではありません・・・が、学歴偏重主義は人々が悪びれもせず無意識に受け入れている偏見であると言えます。

あと、左派政党は、「愛国心とか共同体意識とか帰属意識とか」といったものをキチンとアピールすることができない事が弱みとなっているという主張もなかなか考えさせられました。