要するに、「多種多様な人間のタイプ」への「敬意の問題」だというか、エリート的な価値観からすると「悪」あるいは「取るに足りない何か」だと蔑視されている存在の価値をいかに「受け止める」ことができるか?という課題だと言えるでしょう。
「トランプの政策」に反対な人(リベラル寄りの人)は、しかしこの「トランプが体現しているプロレス的価値観の美点」を、どうすれば自分たちが吸い上げることができるか?を考えることが今後必須になってくると言えるでしょう。
3. ピケティ&サンデルの対談本に表現されている懸念と共通の問題意識
そういう意味で、最近話題になってるトマ・ピケティとマイケル・サンデルの対談本はなかなか考えさせられる記述が沢山ありました。
『平等について、いま話したいこと』
マイケル・サンデルはハーバード大教授で「ハーバード白熱教室」とか「能力主義は正義か」とかの本が話題だった人ですね。トマ・ピケティはご存知r>gの『21世紀の資本』が世界的に知られている経済学者です。
二人はそれぞれかなり違う世界観という感じなんですが、とはいえこの「エリートがちゃんと責任を果たしていない」「市井の人をちゃんと代表する姿勢を見せなくてはいけない」という部分ではかなり揺るぎなく共有しているものがある感じの対談になっていました。
特にアメリカ人であるサンデルは、フロリダに家族旅行に行った時にホテルのエレベーターで一緒になった人に、どこから来たの?と聞かれて「ボストン」と答えただけで(別にハーバードがどうこうとか言ったわけではない)、アイオワ出身のその人から
「ボストンの奴らはアイオワの人間は文字も読めないと思ってるけどそんなことはないからな!」
…といきなり言われたという話をしていたりしてw、アメリカにおける「学歴分断」についてすごい気にしている様子が伝わってきました。
それに関して印象的だったサンデルの発言を少し長めに引用すると、まず「大卒でない人への偏見」というのが「あらゆるマイノリティ差別が問題視されている時代に唯一いくらでもやっていい差別とされている」という話が述べられています。