心身ともに余裕があり、目的を持って「ひとりの時間を楽しもう」と思えているときは、新たな発想やリラクゼーションを得やすいでしょう。

一方、気分が落ち込んでいたり、外的ストレスが大きかったりする場合は「誰も自分の味方がいない」と感じやすくなり、結果として孤独感が辛い寂しさ(loneliness)へとつながりがちです。

Burger (1995) の研究によれば、人々には個人差(preference for solitude)があり、「どれくらいのひとりの時間を必要とするか」が人それぞれ異なっています。

外向的な人や社交性の高い人は短い孤独でも「寂しい」と感じるかもしれませんが、内向的な人や創造的な活動に没頭したい人は、ある程度まとまった時間をひとりで過ごしたほうが心地よいと感じるケースが多いのです。

このように、「自分はどのくらいのひとりの時間を必要としているのか」を理解しておくことは、孤独をポジティブに活かす第一歩と言えるでしょう。

自分で選んで孤独になっているか?

孤独と寂しさを分けるうえで、もうひとつ重要な観点が「自己選択かどうか」です。

自らの意思で「今はひとりになりたい」「この時間を活用して内省や創造的活動をしたい」と考えて取る孤独は、ポジティブな成果につながることが多い反面、望まない状況でひとりにされてしまう、あるいは人と関わりたいのに関われない状況が続くと、強い苦痛感を生み出します。

たとえば、仕事の都合などで物理的に人との接触が難しい環境に置かれたり、文化的・社会的背景が原因で差別や排除を受けて一人でいなければならなかったりといったケースでは、当然ながらポジティブな心境にはなりにくいでしょう。

こうした強制的な孤立が長期化すると、メンタルヘルス面での不調や自己評価の低下を深刻化させ、健康リスクを高める可能性があります。

逆に、自分のペースやライフスタイルに合わせて意図的に孤独を確保できる場合は、創造性や自己洞察、ストレス緩和などの恩恵を得られやすくなります。