あなたは「ひとりで過ごす時間」をどのように感じるでしょうか。
ある人にとっては、カフェでぼんやりと過ごすひとときがかけがえのないリフレッシュの機会かもしれません。
一方で、同じようにひとりでいる状態が、どうしようもない寂しさや不安を生むこともあります。
近年はコロナ禍の影響も相まって、“孤独” や “寂しさ” の問題が社会的な関心事となっていますが、よく耳にする「孤独」や「寂しさ」という言葉は、実は私たちが日常的に抱くイメージよりも、もう少し複雑で深い意味を持つのです。
たとえば、みなさんは「孤独=ネガティブなもの」「寂しい=悪い状態」と無意識に決めつけていないでしょうか。
英語では、“Solitude” と “Loneliness” という二つの異なる単語があり、前者(Solitude)は「ひとりでいること」を比較的中立もしくはポジティブにとらえる概念を指すことが多いのに対し、後者(Loneliness)は「他人とつながりたいのにそれが得られない苦痛」を伴う主観的な状態を指します。
しかし日本語の「孤独」や「寂しさ」は文脈や使い方によってこれら両方を包含し、しばしば混同されやすいのが現状です。
そこで本コラムでは、「孤独(Solitude)」と「寂しさ(Loneliness)」を科学的観点から整理し、その違いを掘り下げてみたいと思います。
実は、孤独には「アイディアや創造性を高める時間としての側面」や「自己を見つめ直し成長に導くきっかけ」など、ポジティブな効果も指摘されています。
一方で、寂しさの感情が強いと、心身の健康に悪影響を及ぼすリスクが指摘されているのも事実です。
両者の境界線が曖昧なようでいて、研究が進むにつれ、それぞれの根底には異なるメカニズムがあることがわかってきました。
一人の時間を“苦痛”と感じるか、“安らぎ”と感じるか—その鍵を握るのは私たちの心の捉え方かもしれません。