孤独(solitude)の重要なメリットの一つとしてしばしば挙げられるのが、創造性の向上です。
Long & Averill (2003) の研究では、自発的にひとりの時間を過ごすことで、思考を妨げる刺激や雑音が減り、内的なイメージやアイディアに集中しやすくなると指摘されています。
私たちの頭の中には日々、家族や友人、職場などの対人関係や情報の洪水が入り込んできます。
そんな喧噪を一時的にシャットアウトし、自分だけのペースで考える時間を確保することが、新しい発想やユニークなアイディアを生み出す源泉になるのです。
孤独の時間を上手に活かすことで、自分自身の本質や価値観を深く見つめ直す機会が得られると説いています。
これは単に芸術家や作家だけの特権ではなく、誰にでも起こりうることです。
ふとした散歩や一人旅、カフェでのんびり考えごとをする習慣がきっかけとなり、自分でも意外なアイディアが浮かぶことがあるでしょう。
このように、ひとりで考える時間は創造性やアイディアを深めるうえで非常に重要な役割を果たします。
たとえば、もしあなたがアインシュタインと話していて、アインシュタインが「それだ!」と叫んで研究室に駆け込んだシーンを考えると、わかりやすいかもしれません。
もしアインシュタインの後を追って、会話を切り上げたことについて抗議したり、孤独になろうとするアインシュタインを不憫に思って話しかけ続けたりすれば……おそらく人類の科学発展に甚大な悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
そしてあなたはアインシュタインからは「最も一緒にいたくない人間」として嫌われてしまうことになります。
この小さなシナリオだけからも、アイディアや創造性を深めるのは1人でいる孤独の時間でなければならないことがわかります。
また孤独はストレス緩和や心理的ダメージの回復にも効果があります。
日常生活における対人関係は多くの喜びや安心感をもたらしてくれますが、同時に、相手への気遣い・コミュニケーションの苦労や社会的役割へのプレッシャーも伴います。