Burger (1995) の研究で示されているように、人には「どの程度ひとりの時間を好むか」に個人差(preference for solitude)があり、同じ環境でも心地よく感じるか、耐えがたく感じるかは人それぞれです。

大切なのは、自分が無理なく過ごせる人間関係の濃さと、適度な孤独の時間をバランスよく組み合わせることにあるといえます。

この点で、周囲から孤立させられている場合は“ポジティブな孤独”とはかけ離れた状態になりやすく、サポートを求める意欲や方法を見つけることが喫緊の課題になります。

一方、興味や気力が湧いてこないまま誰かに付き合い続けるのも、結果としてストレスを増やすかもしれません。

自分のペースに合わせて一人になる時間を持ち、必要に応じて社会的サポートを求める—このバランス感覚が、孤独をうまく活用するための鍵と言えるでしょう。

孤独と寂しさの分岐点:どこから「心地よい」か「辛い」と感じるのか

「孤独=寂しさ」の公式は成り立たない「孤独」は「寂しさ」と本質的に違う:本当は素晴らしい孤独
「孤独=寂しさ」の公式は成り立たない「孤独」は「寂しさ」と本質的に違う:本当は素晴らしい孤独 / Credit:Canva

前章では、ひとりでいる時間がもたらすポジティブな側面を見てきました。

しかし、実際には「ひとりの時間」をどのように感じるかは人によって大きく異なり、心地よさと苦痛の間にはさまざまな要素が関係しています。

ここでは、その分岐点となる代表的なポイントを三つ取り上げ、どのような条件下でポジティブな孤独(solitude)がネガティブな寂しさ(loneliness)へと転じてしまうのかを探ってみましょう。

寂しさを感じるのに人はどれくらいの時間がかかるか?

「孤立状態が続けば、数日~数週間も経てば寂しくなるはず」と多くの人が思うかもしれません。

実際、研究によれば、社会的接触が制限される環境で2〜3日過ごした被験者は、主観的な寂しさやネガティブな感情、ストレス反応(コルチゾールの上昇など)を示す傾向が高まることが報告されています。