また、Nowland, Necka, & Cacioppo (2018) の指摘にもあるように、SNSが提供するオンライン上の「つながり」は、上手に活かせば一時的に安心感を得られる一方で、対面交流のすべてを代替できるものではありません。
Hampton, Sessions, & Her (2011) も、オンライン上のやり取りがオフラインでの交流を完全に置き換えるわけではなく、むしろ両方を使い分けることで人間関係が深まるケースが多いと示唆しています。
では、SNSの利用は「寂しさ」を根本的に救ってくれるのでしょうか。
これは一概に「はい」とは言えないのが現状です。
Kraut et al. (1998) の「インターネット・パラドクス」をはじめ、多くの研究がオンライン交流の功罪両面を強調しています。
SNSの利用によって広がった人間関係が実生活の交流にもポジティブな影響を及ぼし、結果として孤立感を和らげることは十分あり得ます。
一方で、オンライン上でのつながりに依存しすぎるあまり、リアルな関係性が希薄になったり、過度な比較や承認欲求の強化によって寂しさを増幅させる危険も否めません。
結局のところ、SNSはあくまで “ツール” にすぎず、それ自体が万能薬として機能するわけではありません。
オンラインとオフライン両方のコミュニケーションをバランスよく活用し、心が疲弊しているときこそ人や専門家の助けを求めるなど、実生活に根ざした対策を取ることが「寂しさ」を本質的に和らげるカギとなります。
SNSが寂しさの解消に役立つことはありますが、その利用方法や個々人の状況次第で結果が異なる、という点を忘れてはならないでしょう。
まとめ:孤独と寂しさを上手に見極め、豊かな人生へ

2024年に発表された最近の研究でも「孤独」を「1人の時間」と言い換えるだけでも、幸福感が上昇することが示されています。