で、鹿内信隆氏がその彫刻の森の「財団」は私的に押さえているので、その「美術館のボス」であること=「フジサンケイグループ全体のボス」になるという構造になっていたわけです。

箱根の「彫刻の森」は有名なので行ったことある人も多いと思いますが、信隆氏は個人の趣味もあってアレに強く入れ込んでおり、グループのカネを使って世界中から美術品を買いまくり、本人は敷地の隣に邸宅を建てて美術館全体を「自分の庭」みたいに暮らしてたんですね。

2. 「娘婿には継がせたくない未亡人の執念」が大混乱に繋がっていく

で、ここからが「本読み初めて10%ぐらいで既にクライマックス的に面白い」話が始まるんですが、初代の信隆じいさんの奥さんで英子さんという人が出てくるんですよ。

この人がキョーレツで、西洋医学を一切認めない人で、毎年一億円とかいうレベルで漢方薬にお金使ったり、息子の春雄さんがB型肝炎にかかっても決して医者には見せないようにしていた事で無理がたたって、若くしての突然死に繋がってしまったと言われている人なんですが…

先に息子の春雄さんが亡くなって、そして娘婿の宏明さんがグループの継承者になった後に初代の信隆じいさんが亡くなるわけですが、この英子さんからすると、自分の息子の春雄さんの忘れ形見の孫のHくん(ただし当時7歳)が可愛くてしかたなくて、血がつながってない娘婿の宏明さんなんかにグループを継がせたくないわけです。

でも、初代の信隆じいさんは、これからのメディア経営には当時のジャパンマネーを利用した国際的なM&Aなどの素養が必要で、国内のメディア経営だけしてりゃいいわけじゃないんだ、という意見を持っていたので、興銀マンの中でも相当優秀だったとされる宏明さんにすごい期待してたんですね。

だから、奥さんから「Hくんに継がせろ」と何度言われても無視して、先に公的な遺言書を作って、全部宏明くんに譲るって書いておいたりしたんですが・・・