大谷翔平はワールドシリーズ前のインタビューで、「まあ勝てばもうなんでもいいという状況なので、自分の状態がどうのこうのとか、変な話打てた打てないとか、それが有意義なアウトならオッケーじゃないかなと思うので、逆に言えばすべて勝ったか負けたかで決まるので、そこ次第かなと思います」と述べている。
「自分の役割を果たす」とは、その時その瞬間に「何をすればチームの勝利につながるか」ということを考え、判断し、実行することに他ならない。
人間は「恐れ」「見栄」「エゴ」など多様な感情によって迷い、間違い、失敗するという特徴がある。自分の感情に惑わされず、今すべきことに集中するスキルは協働力の基礎と言っても過言ではないであろう。
大谷翔平はどのような状況に置かれたとしても、目の前の次にすべきことに思考を向けようとしている。感情を完全にコントロールできる人間はいないが、高いレベルになればなるほど自分の感情との付き合い方を磨くことが大事になってくる。
(2)率先垂範で役割に集中する姿を示すこと「自分の役割を果たす」とは、プレーを遂行するだけでなく、事前準備など自分でコントロールできることを全てやり切ることである。
ドジャースのベテラン投手カーショーは大谷翔平について、「彼を見ていると、彼の勤勉さがよく分かる。毎日が同じ。決して疲れた様子も見せず、愚痴をこぼさず、感じさせない。投手としてのリハビリも欠かさず、ウオームアップ、練習を繰り返し、本塁打を放ち、盗塁も増やす。その一貫性は評価に値する。細部へのこだわりと勤勉さ。見ていてクールだ」と述べている。
試合中だけでなく、事前準備から感情に惑わされず自分のすべきことに集中しているリーダーが存在するチームでは、メンバーが互いの頑張りを見て高め合うチームに育っていく。
(3)チームメンバーへの信頼を示すチームメンバー全員が全てトップ選手のチームは存在しないし、トップ選手であっても好不調の波はある。しかし、大谷翔平やドジャースの選手はインタビューを受ける時、チームメイトに対してポジティブなコメントを徹底している。「彼はまたやってくれるはずだ」という信頼を感じさせるコメントをする。