予備選挙期間中でも注目度が高い時期に行われ、会場には1万人を超える聴衆が詰めかけました。
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この選挙集会の様子は、オンラインの動画プラットフォームやニュースサイトでも配信されており、演説の長さは約60分。
本研究では、この映像全編を対象として、トランプ氏のジェスチャー、特に「指差し」に関するあらゆる動作を詳細に記録・分析しています。
映像分析にあたり、研究チームは「ジェスチャーファースト」と呼ばれる手法を採用しました。
これは、まずスピーチ全体を通して現れるジェスチャーの種類や動きに注目し、そこからどのような言語表現(単語・フレーズ)と結びついているかを追跡するアプローチです。
具体的には、手で指し示す動作の有無とその方向(外向き・内向き・上向き・下向き・複雑形)に着目し、それぞれが話し手の発話内容(「私」「あなた」「ここ」「この国」など)と同時にどのように現れるかを、フレーム単位で検証しました。
結果、興味深い事実が判明します。
(1)外向きの指差し
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基本的な方向指差しの中で最も多かったのが、体の正面から外側に向ける「外向きの指差し」(29回)で、全体の3〜4割を占めていました。
特に二人称(“You”や“あなた”)を使う場面や、抗議者・メディアといった第三者を明示的に攻撃・揶揄する場面で頻出しました。
これにより聴衆は、敵対対象や注目すべき対象を視覚的に共有しやすくなり、熱狂や共感が生まれやすくなると考えられます。
「あなたたち」という呼びかけとともに指を大きく振り回す動作は、聴衆を巻き込み、感情的に煽る効果を持つ可能性があります。
(2)内向きの指差し
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