毛玉ちゃんは走るのが速いだけでなく、毛玉だけに羽毛を持っていました。ヒプノヴェナトルは全身に羽毛が生えているだけでなく、前脚や尾の先に羽もありました。

小型の恐竜は保温のための羽毛を持っていたと考えられています。これは空を飛ぶための翼や羽を獲得するよりも先でした。空を飛ぶために羽が生えてきたわけではないんですね。まずは保温のため。ダウンジャケットは恐竜にとっても暖かかったのです。

現代の鳥も、ヒナの時にまず生えてくるのは飛ぶための羽根ではなく、ふわふわの羽毛です。飛ぶより先にまず保温。

小型で幼いほど低温に弱い鳥。恐竜もまた同じだった?
小型で幼いほど低温に弱い鳥。恐竜もまた同じだった? / Credit: Wikimedia Commons

こうした羽毛や羽を持つ恐竜を「羽毛恐竜」といいます。

恐竜といえばウロコのある爬虫類と同じルックスだと考えられてきたのですが、1996年、中国で発掘された1mほどの恐竜の化石には、まるで鳥のヒナのような羽毛がふさふさと生えていて世界に衝撃を与えました。

その後、同じ地層から羽毛を持つ恐竜が次々と見つかったのです。ほぼ全てが1m程度の小型恐竜でした。小型なティラノサウルスの仲間にも羽毛を持っているものがいたので一時はあのティラノサウルスもふさふさしていたのか?と疑われたこともありました。

その後、12mもあるティラノサウルスは体の一部にだけ羽毛があり、ほかはウロコだということがわかってきました。しかし、体の小さい子供のうちは保温のため羽毛で覆われていた可能性もあります。

体にふさふさと羽毛が生えているだけでなく、鳥にそっくりな翼のような前足を持つ恐竜も見つかりました。前脚は鳥の翼のように折りたためる構造になっていて、恐竜と鳥の間をつなぐ存在であることが伺えます。

こうした鳥に似た恐竜の中には、翼をはばたかせるための筋肉が発達し、重心のバランスを取るために長かった尾が短くなったものも現れました。尾は短く、バランスを取るのはもっと軽い尾羽になりました。こうなると限りなく鳥に近くなります。

恐竜は長い尾で重心のバランスを取っていた
恐竜は長い尾で重心のバランスを取っていた / Credit: Wikimedia Commons/ナゾロジー編