何か怖いことがあるとおうちに引きこもり、丸く小さくなってやり過ごそうとするのが可愛いです。
この眠れる毛玉ちゃんヒプノヴェナトルは、約1億1000万年前にアークトメタターサル構造を持ったことで速く走れるようになったことがわかりました。
はい、アークトメタターサル構造。これは何でしょう?
これは中足骨((足の甲の骨)のうち、第3中足骨の近位部(頭に近い方の側)が狭くなり、第2と第4の中足骨の近位端が前面で接しているため、第3中足骨が前から見えない状態の構造です。言葉だと少しわかりにくいので図を見てみてください。
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この構造には、体重や衝撃を支えるバネのような役割があると考えられていて、速く走ることに適応しています。アークトメタターサル構造を持っている、よく知られている恐竜にはティラノサウルスがいます(あいつ走るのが速いんですよ…)。
その後、趾骨(しこつ:指を作る小さい骨)も走るのに適した形に進化していったことがわかりました。空は飛べなくても走るのが速い。現代にもそういう鳥がいますよね。
調べた結果。ヒプノヴェナトルはトロオドン科、トロオドン亜科ということがわかりました。これがモンゴル産のゴビヴェナトルと仲間になります。後足の形を変えることで速く走れるようになったのはトロオドン亜科から始まったこともわかりました。
モンゴルと日本。つまりアジアで見つかった恐竜が特殊な前足の機能とより速く走れる機能を持ち始めたことがわかったのが、この毛玉ちゃん発見の大きな成果です。
羽毛恐竜は鳥に近いほど小柄だったり、骨が華奢だったりするため、骨同士がつながった状態で発見された例が少なく、恐竜から鳥への進化過程を証明するのはなかなか困難なことなので、そうした点でもこの毛玉ちゃんは貴重な存在といえます。
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