鳥は長い尾羽を持っていても、尾は短い生物です。焼き鳥の「ぼんじり」を思い出してみてください。塩焼きが美味しい皮と脂肪だけのような部位ですが、あれは鶏の尾です。尾羽が長いのでわかりにくいですが、尾はプリッとしたあれです。

焼き鳥にもされる「ぼんじり」は鶏の尾。とても短い
焼き鳥にもされる「ぼんじり」は鶏の尾。とても短い / Credit: Wikimedia Commons/ナゾロジー編

恐竜は、例えばティラノサウルスを見るとわかるように、長い尾を持っています。これはバランスを取るためです。

しかし、長い尾は空を飛ぶには重すぎました。そのため、鳥に近い羽毛恐竜は尾が短くなり、代わりに尾羽が長くなるような進化を遂げたのです。

丸鶏を見るとよくわかる「ぼんじり」。体と比較して尾が短いのがよくわかる
丸鶏を見るとよくわかる「ぼんじり」。体と比較して尾が短いのがよくわかる / Credit: Wikimedia Commons/ナゾロジー編

飛ぶためには翼を強く動かし続けるための大きくて強い筋肉も必要です。そのため、羽毛恐竜が鳥に近づくほど胸骨は大きく、筋肉が多く付く構造になっていきました。

鶏も鴨も、モモ肉だけでなく胸肉も食べ応えのあるサイズなのは、元はと言えば鳥は空を飛ぶため胸の筋肉を大きくしたことによるのです(多くの家禽は食用に品種改良された結果でもあります)。

羽毛恐竜の中でもかなり鳥に近いイーシャノルニスは胸骨こそさほど大きくなくても、尾は鶏のぼんじりのように短く、短い尾に長い尾羽が生えていました。恐竜と鳥、両方の特徴を持っていたため、この羽毛恐竜の発見は、「鳥は爬虫類(恐竜)から進化した」という考え方のきっかけを作ることになりました。

鳥のヒナが巣立つ前にはばたきの練習をして徐々に飛べるようになるのと似て、羽毛恐竜で翼を持つものたちも同じような動きで飛べるようになっていったと考えられています。羽毛恐竜は、体の保温から始まって、住む範囲を木の上にまで広げ、尾は短くなり、やがて羽ばたいて飛ぶ鳥へと進化していったのです。