こうした違いを踏まえれば、CESの結果よりCPSの方が信頼性が高いように見える。しかし、CESの調査対象は12万2,000以上の会社や政府機関である一方で、CPSは6万世帯に過ぎない。従って、通常は雇用の伸びについてはNFPを扱うCESを重視する傾向が強い。
チャート:雇用関連の調査回答率は低迷
(出所:Street Insights)
〇起業・閉鎖モデル
NFPを算出する上で、複数の職を持つ者の押し上げのほか、起業・廃業モデルに注目すべきだろう。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、2023年7月に同様の記事を配信し、起業・廃業モデルなどを理由に「NFPは労働市場を過大評価している可能性」を取り上げ、筆者以外に疑問視する声の存在を感じさせていた。ただ、足元は労働市場は冷え込みつつある。
今回を振り返ると、起業・閉鎖調整ベース(季節調整前)の雇用増加をみると前月比10.5万人減と、2カ月連続で減少した。今回でいえば、NFPにはマイナスに影響したと言えよう。
チャート:起業・閉鎖調整ベースの雇用増減(季調前)の推移
(出所:Street Insights)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2025年2月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。