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米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、市場予想を下回りました。しかし、労働参加率が上昇し、失業率は低下。年次基準改定を経て下方修正されたものの、速報値からは下げ幅を縮小し、全体的な堅調な労働市場を印象づけています。

米1月雇用統計の結果を受け、FF先物市場では6月利下げ観測が前日の45.7%→42.2%へ低下し据え置き予想が前日の35.4%→47.2%と逆転しました。

画像:FF先物市場、6月は据え置き予想が逆転

fedwatch25feb7 (出所:Fedwatch)

ドル円は堅調な結果を受け一時152.43円まで本日高値を更新しながら、その後は上げ幅を縮小。151円割れから買い戻されただけに、上げ余地が限定的だったと考えられます。

日米首脳会談を控え、ベッセント米財務長官が前日にインタビューで、貿易黒字国に対し為替レートや金利抑制がその要因となっている国もあると発言していたため、一部で円安是正を行うとの観測がくすぶり上値を抑えた可能性があります。

加えて、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値のセンチメントが急低下し、トランプ大統領が早ければ7日中にも「相互関税」を発表する方針との報道もあって、不確実性の高まりから売りが再燃しました。米10年債利回りはミシガン大の1年先インフレ期待の上昇や相互関税の報道もあって高止まり、米株は買い先行後、まもなく下落し「相互関税」報道を受け下げ幅を広げました。

5分足チャート:ドル円は米12月雇用統計後、米10年債利回り(緑線、左軸)につれ上昇も上げ幅を打ち消す

USDJPY_2025-02-08_04-01-20 (出所:TradingView)

今回の雇用統計のポイントは以下の通りで、好材料が目立ちました。

(労働市場にポジティブ)

・NFP、年次改定の下方修正は速報値より小幅 ・NFP、過去2カ月分は上方修正 ・平均時給の伸び、前年比で生産労働者・非管理部門含め伸び鈍化(インフレ抑制の観点ではネガティブ、購買力の観点でポジティブ) ・民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)、前年比の伸び加速 ・失業率は8カ月ぶりの低水準 ・労働参加率、4カ月ぶりの水準を回復 ・完全解雇者の労働力人口の割合が低下 ・就業率は改善 ・長期失業者の割合が低下