『メディアの支配者』(講談社文庫)中川一徳

堀江貴文氏が昨日YouTubeで、フジテレビはニッポン放送とかBSフジとかの子会社の方がよほど利益が出ていて、フジテレビ単体では収益がすごく少ない。それは経営が間違っているからだ・・・という話をしていましたが・・・

でも多分それは、「フジ・メディア・ホールディングス全体」の中で共通経費的な部分をフジテレビが単体で支出している構造が沢山残っているからで、フジテレビ自体の経営はまあまあうまく行ってる可能性も高いなと思います。

例えば「報道」機能を共同で行っていて、海外支局とかの維持費用などは「共同で持っている」ことにして、実質的にはフジテレビが産経新聞に利益補填をしている・・・というような構造ですね。

その他、美術館とかいろんな不動産事業とかで投資をする時にカネがいるとなると、フジテレビが「グループ全体の財布」のように使われていた流れが残っているのではないかと思います。

で、実際、民放テレビ各社の業績をチラホラ見てると(こっちは新聞よりよほど透明性高くてわかりやすい資料が結構ある)、「本業」部分の収入自体だけで見ても最近はそれほど減ってないどころが微増ぐらいはしてるんですよね。

以下はフジテレビ単体の売上高の増減要因ですが、右半分の「催事」とかの単発ビジネスで減収ですが、左半分の「放送メディア」部分は全部「微増」ぐらいではあります。(他のテレビ局も似たりよったりだったように思います)

フジテレビ決算資料

つまり、テレビ・メディアの影響力は、20年前からは激減したけど、「あるレベル」で下げ止まってはいて、あまりに乱立するYouTube勢に対して共通了解を提供する価値は未だに残っているのだ、と論評している人を時々見ますが、経営数字的にもそれはかなり裏付けられていると言えるかもしれません。

また、テレビ局はその「本業」だけで見ても微増レベルな上に、フジテレビがアマプラとかネトフリみたいな「FOD」をやって150万人有料会員がいたり、各社アニメを手掛けた分のマーチャンダイジングで儲けたりと、副業も結構伸びてきている印象がありました。