「日弁連のガイドラインに従った第三者委員会を選択肢に入れながら、過去に付き合いがある弁護士事務所を除外し、過去の実績を調べて、結果的に竹内弁護士を選任した。1月17日の記者会見以降緊急監査等委員会で承認を受け、発表する前に、リリースの手続を聞いたところ、第三者委員会を開くことを取締役会の承認がない時点で発表したらその任は受けられないということだった」

などと説明した。

竹内弁護士への依頼の経緯に関する疑問

しかし、このような嘉納氏、金光氏の説明には疑問がある。

嘉納氏の社員説明会での発言内容から、フジテレビ側が、17日会見の前に竹内弁護士と接触していることは明らかだ。その時点では、昨年12月26日に最初の文春記事が出されたことを受け、翌日に、「事実でないことが含まれ、当該社員は会の設定を含め一切関与していない」と否定コメントを出すなど、基本的に、フジテレビとしては、同社が責任を負うべき問題であることを否定していた。ところが、年明けの週刊文春の続報などを受け、フジテレビへの世の中の批判が高まった。

この局面では、その週刊文春が報道した問題というのは、フジテレビ側にとっての「企業不祥事」とは認識しておらず、それにもかかわらず批判が高まっていることに対して、社内調査も含めた調査の在り方や会見の設定、そこでの説明の仕方などの「危機対応」が重要な課題となっている状況だったはずだ。

竹内弁護士は、不祥事調査と危機管理を専門とする弁護士であり、17日会見の前の時点で同弁護士と接触したのであれば、まずは、文春報道での急激な批判の高まりを受けての危機対応について相談し、その中で、弁護士中心の調査委員会、あるいは第三者委員会の設置等も選択肢として対応を検討するのが自然な流れだ。

そのような相談が行われていたとすると、その後、第三者委員会が設置され、竹内氏が委員長に選任されたことに関しても疑問が生じる。

「文春報道の変更」へのフジテレビの無反応