発端となった文春記事で会社側の問題として指摘された事実(A氏の関与)については、フジテレビ側は明確に否定するコメントを公表していた。その文春記事が訂正されたのであるから、通常であれば、それによってフジテレビ側の主張が裏付けられ、信頼が回復するようにも思える。しかし、問題は、それほど単純なものではなかった。
第三者委員会設置の経緯をめぐる謎上記のとおり、フジテレビの問題は、第三者委員会が設置されるまでの経過が、一般的な企業不祥事とはかなり異なる。その経緯にはいったい何があったのか。
1月24日にフジテレビで開かれた社員説明会で、17日会見の時点で「第三者委員会を設置する」と説明せず「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」という曖昧な言い方になったことについて、嘉納会長が、
「17日の港社長らの記者会見の前から第三者委員会設置を検討しており、フジテレビ側が竹内朗弁護士に第三者委員会を作るために相談した際、『取締役会で正式に決議する前は第三者委員会という言葉は一切表に出さないように、第三者委員会の《だ》の字も出してはいけない』と言われた。17日の会見の際に石原常務が、幅を持たせて、第三者委員会に限りなく近い、という言い方をしたのは、第三者委員会という言葉を使えないから、調査委員会っていう説明になってしまった」
などと述べていた。
その点について、27日会見で、「フジテレビ側が第三者委員会委員長に就任した弁護士と、委員会設置が決定される前に接触して綿密な打合せをし、その指示に基づいて動いていたことは、第三者委員会の独立性・中立性を害していて問題なのではないか」と質問された嘉納会長は、
「事務方で交渉して調べて、竹内弁護士に依頼することが決まり、挨拶にお伺いした時に取締役会で第三者委員会の設置を決定する前には第三者委員会とは言わないでくれと言われた。」
との趣旨の説明を行った。さらに、フジHDの金光修社長が、