今回のフジテレビの第三者委員会の設置の経緯に疑問が生じかねないことは、27日会見に第三者委員会側がどのように関与するのか、委員長などが会見に登壇するのかなどの判断にも影響している可能性がある。

17日会見で、フジテレビ経営陣の信頼は大きく損なわれ、自力での信頼回復は困難な状況に追い込まれていた。だからこそ、「日弁連ガイドライン準拠の第三者委員会」の設置という選択を敢えて行わざるを得なかったのであろう。そうであれば、27日会見において、経営陣やその支配下にある内部者に代わって、第三者委員会側が積極的に表に出ることで信頼回復の第一歩とすることが重要だった。

フジテレビとフジHDの経営陣5人による記者会見を3~4時間程度でとりあえず打ち切って、第三者委員会の委員長が登壇し、フジテレビとは一切利害関係がない、独立かつ中立的な立場で調査を行い、調査結果をとりまとめて報告書を公表すること、フジテレビ社員や関係者に対しては、調査への協力によって一切不利益を受けることはないことのメッセージを発したりすることで、「第三者委員会の調査」を主題として提示することができ、会見の追及的な雰囲気も相当程度変えることができたのではなかろうか。

一昨年に表面化し、大きな社会問題になった「ジャニー喜多川氏の性加害問題」が、イギリスのBBCで取り上げられ、日本でも大きな問題となった時点で、ジャニーズ事務所は、「外部専門家による再発防止特別チーム」を設置し、その時点で、林真琴弁護士(元検事総長)などのメンバーが記者会見を行った。その後公表された同チームの報告書も、経営責任を厳しく問うものとなり、概ね評価された。その後の記者会見で「NG記者リスト」問題などの失態があり混乱を生じたが、少なくとも「第三者委員会」の設置と報告書公表までの対応には特に問題はなかった。