多くの日本人にとって、日米安保条約は「水や空気」のようなものだ。普段はその存在を意識することすらない。

しかし、米兵による暴行事件や基地の騒音問題が発生すると、一転して「迷惑な存在」として安保の負の側面だけがクローズアップされる。だが、日本が戦後約70年間にわたり平和を維持できた最大の要因が、米軍基地の抑止力と米国の「核の傘」にあるという現実を、ほとんどの日本人は認識していない。

さらに米軍駐留経費の負担を「”思いやり”予算」と言っていた。米国の「核の傘」の 運用や潜水艦の費用など全く考えもしない。過去20年くらい筆者が、「いい加減現実を直視するべき」と言ってきたことが通ったのか「思いやり」という「思い上がった」言葉が最近変えられた。

ある意味、日本は米国のために動かなくて済む。だが米国がお金で日本防衛を本当にしてくれるなら、安いものという考えもできる。これだけ平和ないまの日本にいると想像できないだろうが、「生死」がかかっていることだ。

歴代の自民党政権は、そこの部分をかなり理解していた。

だからこそ、沖縄返還の時に「核持ち込み密約」を国民に知られないように、米国と結んだ。唯一の被ばく国だから「核廃絶を促進する」とか言いながら、オバマ米国が格の威力減衰を言い出した時「それは日本国防にマイナスになるから止めてくれ」と、核の傘「強化」を米議会など多くの関係者にお願いした。

オバマの核の威力を減じる目的は、核拡散を止めることだった。日本の国防のために米国に強く働きかけて反対した日本政府は、「核拡散防止に反対」したことになる。

日本国民はそもそも核廃絶以外は無関心で他人事、興味ないし、知ろうともしない。少しは関心を持ち、世界の常識を勉強するべきだろう。例えば、核保有国と持たない国との「橋渡し」などできない。米国の核の傘を背一杯利用して、日本の平和を維持することは世界が知っている。つまり「核兵器禁止」など日本にとってはあり得ないことなのだ。日本人は現実を知って、深い議論をするべきだ。