日米安保のような軍事同盟は本来、互いに血を流し合って守る関係である。これはドイツ・イタリアなどのNATO諸国とは、決定的に異なる事実だ。この片務性は他にはないが、これも多くの日本人が知らない。
日本はこれまで「不沈空母」としての基地提供によって米国の納得を得ていたが、トランプは「米国は日本を防衛する。だが米国有事の時、日本人はTVを見ているだけ」と発言した。トランプ以前からその傾向があったが、トランプ誕生でさらに強くなった「アメリカ第一主義」によって、片務的な関係は許されなくなった。
日本国内にはいまだに「9条を掲げていれば平和は維持できる」という幻想が残っているが、これは現実と乖離している。9条はあくまでも昔の苦い経験、日本による侵略行為を阻止するだけ。中国のような他国に日本が侵略されることへの抑止力はない。逆効果なだけだ。
日本は主体的な防衛政策を持てるのか?米国はトランプ誕生以前から20年くらいに渡たり、日本に「米国依存度を減少させ、自国自身の防衛力を強化せよ」と求めてきた。国連も同様であり、日本は9条を言い訳に、基本的に資金提供だけで「血と汗」を伴う国際貢献を避けてきたため、米国だけでなく、世界の多くから批判を受けてきた。
もはや、「米国に言われたから」では通用しない。日本は主体的に自国防衛を考え、行動する国家へと変わる必要がある。
石破首相の外交姿勢への懸念石破首相は日米地位協定改定を撤回した。それは上記の片務性を知れば「改定などあり得ない実態」を知ってのことだ。さらにワシントンでは、もう1つ失笑をかった考え。「アジア版NATO」に中国を含める可能性を示唆したことは、外交的に大きな矛盾を抱えている。
日米両国は共に中国を「脅威」と認識している。日本が米国との「軍事同盟」を維持しながら中国と接近することは、外交的な整合性を欠く。