非常に差が大きいのは、成人男性のあいだでの労働力参加率です。こちらはほぼ一貫して2位のフランスに3~4パーセンテージポイントの差をつけて日本が首位を独走しています。

結局のところ、いわゆる終身雇用(正確には定年までの雇用と給与の保証)とは、日本の男性正規雇用者を守りつづけるために、女性雇用者は名目は正規でも結婚・出産・子育てなどを口実にふるいにかけて弾き落とすシステムの総称なのです。

そして、この男性だけをあまりにも手厚く保護する仕組みは、男性にとっても重荷になっている側面もあります。

上段には、日本とスペインで男性の失業率と自殺率の相関性を比較したグラフが出ています。一目瞭然ですが、日本の相関係数はプラス91.4%と異常に高く、スペインはほぼ無関係でほんのわずかにマイナスの0.007%となっています。

下段は日本男性が示す異常に高い失業と自殺の相関係数を他の7ヵ国と比べたグラフですが、スペインほど相関性の無さが目立たないもののほとんどの国で日本とは比べものにならないほど相関係数が低くなっています。

これは当たり前ではないでしょうか。もし「自分のまわりでは働き盛りの男性はみんな忙しそうに働いているのに自分だけが職を失ってしまった」と思ったら、自分の全存在を否定されたような気になって、自殺へのきっかけとなることは大いにあり得るでしょう。

凄まじい労働力資源の浪費

次の2枚組日本地図でご覧のとおり、過去約30年間で日本では非正規・不定時の不安定な就労条件で働く人が激増しました。しかも、日本企業の大半が「男子は一生のご奉公、女子は使い捨て」というカルチャーを持っているため、非正規労働者の大半は女性です。

 

これがどんなに深刻な労働力資源のミスアロケーションかは、次のデータが立証しています。

日本からの移民やその子孫でアメリカに帰化した人たちは、世帯として白人世帯よりかなり年収が高いだけではなく、日系アメリカ人女性の年収も白人アメリカ人男性の年収より高いのです。日本女性の大半が、絶対に正規雇用で立派に仕事をこなせます。