上記のとおり、これまでの石破政権の対米・対トランプ大統領に関する戦略的逃げ腰外交(キジも鳴かずば撃たれまい戦略)について、割と肯定的に評価してきた。
ただ、評価のポイントは、逃げ腰であるということだけではなく、むしろ戦略的に、というところにある。すなわち、ただ逃げていれば良いというものではない。その意味ではこれからが大事になる。
この戦略的、ということに関して、今後、筆者が期待するのは、以下の2点である。①日米における多層的繋がり構築戦略と、②各国に対する多方面展開戦略である。
①については、安倍―トランプの友好関係や、古くは小泉―ブッシュ、ロンヤス関係(中曽根―レーガン)などの友好関係など、個人的な密なつながりに過度に期待するのではなく、多層的に、様々な団体や企業や個人同士が、日米で繋がっていくということを模索するということだ。
上述のように可能性としては、石破―トランプの友好関係が密になる可能性は低いと思われる(思われている)。互いに政権が変わるごとに、首脳間の関係次第で日米関係が大きく揺らぐことのないよう、日頃から多層的に様々なリレーション構築を図るという戦略である。
具体的には、ビジネス人同士、NPOなどシビルソサイエティに関わる者同士、起業家同士、学生同士、地域同士など、多層的な人的交流の枠組みを戦略的に増やしていくことが望まれる。
一般論としては、一朝一夕にこうした関係構築が出来るものでもないが、割と手軽に始められるところもあると思う。一部のグローバル人材を除き、一般的には日本人は内向き化している。そして米国側も、一部のエリート等を除いて、日本と韓国の位置関係も分からない人が多いのが現実だ。自治体外交も、友好都市など、時代を経て形骸化しているところが多い。こうした繋がり・出会いを政府が主導しつつ強化・復活させていくことが求められる。