近年の脳科学研究により、さまざまな活動を通して人間の身体活動が不思議な同期を起こすことがわかってきました。

たとえば2022年度のイグノーベル賞の応用心臓病学賞を受賞した研究によれば「運命の出会い」が起こるとき、2人の心臓は同期し、同じリズムで鼓動しはじめることが示されています。

また最近になって行われた研究では、たとえ部屋に1人でいても、オンラインゲームの協力プレイは、プレイヤー間の脳活動を同期させる効果があることも報告されています。

さらにマウスを用いた研究では、マウスの脳に刺した光ファイバーに同じタイミングで光を送り脳活動を同期させることで「強制的に友達を変更させる」ことにも成功しています。

このように動物の体や脳は、特定の行動に一緒に従事することで、活動パターンを一致させる能力があります。

そこで名古屋大学の研究者たちは、参加者たちにペアになってコックリさんを行ってもらい、そのときの脳波を調べることにしました。

結果、驚くべきことに、コックリさんを行っている参加者たちの脳波が同期を起こしていたことが判明します。

研究者たちは、コックリさんを行う参加者たちは、コックリさんからの答えに対して共通の期待や予測を行っていたことが脳活動を同期させていた要因になったと述べています。

コックリさんが「こっくり」になった理由、再流行の兆しも

コックリさんの直接的な起源が1890年に作られたウィジャボードにあることは先に述べたとおりです。

それならば、なぜ日本ではその名前である「ウィジャさん」や「ボードさん」ではなくコックリさんになってしまったのでしょうか?

哲学者としても知られる井上円了(1858〜1919)によれば、コックリさんの先祖であるウィジャボードが日本に伝わりはじめた初期のころ、伊豆の下田において、ご飯を入れるオヒツと竹を使った即席テーブルでウィジャボードが遊ばれていたのが起源とのこと。