同様の無意識による効果は、ダウジングなど他のさまざまなオカルト的な現象の原因となっていると考えられています。
また2019年に行われたアイトラッカー(視線追跡装置)を使った研究では、実験を行う時間が長くなるにつれ、参加者たちの視線が指を乗せた木片の動きに先行予測するようになっていくことが判明しています。
もし霊的存在が本当に参加者たちの意思や無意識に関係なく10円や木片を動かしているなら、指の動きと参加者たちの視線は一致しないはずです。
つまり、コックリさんの結果は、参加者たちの知識や経験をもとに、参加者たちの無意識の声を反映しているものになっているのです。
実際「原子番号100番の元素名」や「見知らぬ人の趣味」など、参加者たちの誰もが知らない情報の正誤を訪ねた実験では、コックリさんは正しい答えを当てることはできませんでした。
この結果はコックリさんの解答能力も参加者たちの集合知に依存することを示します。

2つ目の要因は主体性(agency)と呼ばれる、目の前の現象が自分の行動によって起きていると信じる能力です。
通常、目の前にある自分のPCやスマホの検索画面にキーワードが入力されているのは、自分が文字を打ち込んでいるからだと、自分の主体性を信じることができます。
何のことはない能力に思えますが、コックリさんでは、この主体性を信じる能力が上手く機能していないことが問題になります。
以前に行われたコックリさん研究では、研究者が人為的な方法で参加者の主体性の感覚を操作したところ、参加者は霊的な存在が10円玉や木片を動かしていると答える傾向が強くなりました。
また参加者たちの主体性を信じる能力を測定したところ、主体性を信じる能力が低い人ほど、霊的な存在の介入を感じる傾向が高くなりました。
つまり、自分たちの指を置いている10円玉の動きが自分たちの意思によるものだと信じることができない人ほど、コックリさんのとりこになりやすいのです。
