3つ目の要因は感情の伝染です。

コックリさんにおいては、この3つ目の感情の伝染が最も強い悪影響を与えます。

1つ目の無意識の影響(観念運動効果)や2つ目の自分の行いを自分がやったと信じる能力(主体性)の影響は、本人のみに留まります。

しかし主体性が乏しい人間が、自らの無意識的な動きに霊的存在の介入を感じて、恐怖を覚えて騒ぎ出した場合は異なります。

私たち人間を含む社会的な動物には、別の個体が感じた恐怖を自分の恐怖のように感じる「恐怖の伝染」を起こす能力があります。

この能力は本来、捕食者や自然災害などの脅威を集団に素早く伝達することで逃走をうながし、生存率を上げるために存在します。

しかしコックリさんではしばしば「霊と交信している最中は指を離してはいけない」「コックリさんからは逃げられない」など逃走不可な条件が付け加えられています。

そのため、恐怖を感じた参加者の間で恐怖が伝染されながら増加していっても、逃げることができず、結果的に発狂などを起こしてしまう場合があります。

たとえばコックリさんが大流行していた1973年、ある群馬県の中学校において、コックリさんを行っていた女子生徒たち数人が集団パニックを起こした事例が記録されています。

また南米ペルーではコックリさんに似た儀式から発生した恐怖が80人にも及ぶ生徒たちの集団発作を引き起こした事例も報告されています。

以下の動画はパニックを起こした生徒たちの様子です。

(注意:衝撃的な光景なので注意してください)

同様の集団パニックはさまざまな時代や国で繰り返されており、コックリさんに起因する恐怖の伝染が人間の精神に重大な影響を与えていることを示しています。

そうなると気になるのが、コックリさんを行っているときの人間の脳の様子です。

コックリさん先進国である日本で2013年に発表された研究では、コックリさんを行うことで生じる非常に興味深い脳現象を発見しています。

「コックリさん」をしている時の脳活動を測ってみた!

「コックリさん」と「脳科学」
「コックリさん」と「脳科学」 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部