DMMはJリーグに関しては、2018年に大分トリニータと業務提携、2019年からはアビスパ福岡と業務提携し、株式を一部取得し経営に参画開始した。COO(最高執行責任者)村中悠介氏が福岡の取締役に就任し、2021年から2023年までユニフォームスポンサーとなっただけでなく、DMMオンラインサロンでは「アビスパTV」を展開。加えて、ファジアーノ岡山、北海道コンサドーレ札幌とも提携している。
しかし、これだけのクラブ運営ノウハウを持っていながら、同社はJクラブの買収に動いたことはない。いや、“買収できない”と言った方が適切かもしれない。
Jリーグにおけるオーナー企業やスポンサー審査のハードルは非常に厳しい。その中には「ビールはOKだが、焼酎などのハードリカーはNG」といった謎ルールも存在した。数年前にようやく改正され、ロアッソ熊本のユニフォームスポンサーには「白岳」が、鹿児島ユナイテッドの胸スポンサーには「さつま島美人」の掲出が許された。
DMMもアビスパ福岡のユニフォームスポンサーとして「DMMほけん」や「DMM TV」が、また川崎フロンターレのユニフォームスポンサーとしても「DMMほけん」が掲出された過去がある。
しかし仮にDMMが、アビスパ福岡の株式の過半数を取得しオーナーになろうとしても、事業内容が精査されれば、Jリーグ側も、現在オーナーとなっている福岡市および福岡の経済界を取り仕切る「七社会(九州電力、福岡銀行、西部ガス、西日本鉄道、西日本シティ銀行、九電工、JR九州)」も、それを許さないだろう。
それを承知でDMMは国内ではなく、欧州の小クラブに狙いを定めたという見方もできる。STVVは1924年創設で100年以上の歴史を持つクラブだが、日本の企業が欧州のクラブを買収した初のケースとなった。そして若手の育成に注力し、身の丈に合った経営を続けて結果を出し続けたことで、地元民からも受け入れられた。
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