STVVのユニフォームスポンサーには、Jリーグではスポンサーになることが禁止されているパチンコホール「MARUHAN」の文字が目立つ。もう1つのユニフォームスポンサーは、コロナ禍で名を売った「にしたんクリニック」。しかも日本語広告だ。にしたんクリニック自体、ベルギーに診療所を持っているわけではないのだが、JR渋谷駅前にSTVVの巨大広告を掲出した。

加えて、STVV公式イメージガールとして「シントトロイデンガールズ」なる5人組女性ユニットを結成。2022年から2023年にはテレビ東京系で『EXITのベルギー行ったらモテるやつ』という、およそサッカー番組とは思えないバラエティーでチームをPRし、平成のバブル時代のようなド派手な広告戦略を展開している。

現在50以上もの事業を手掛けるDMMだが、事業拡大に大きく貢献したのはアダルトビデオの販売および「DMM.R18」で展開されたイメージビデオの配信だ。しかし2016年には、国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」から児童ポルノに関する指摘を受け、18歳未満の女性が出演するイメージビデオの取り扱いを全面停止するに至り、その翌月、事業そのものを売却している。

ところがだ。2017年、アダルト向け事業を連結子会社「株式会社デジタルコマース」に分社化し、レーベルを「DMM.R18」から「FANZA」と改め、アダルト向け動画サービスやライブチャット、AV情報誌や同人誌の販売といった事業を展開。2021年には売上高が1,000億円を超え、アダルト向けプラットフォーム業界において7割もの圧倒的なシェアを誇っている。セクシー女優ナンバーワンを表彰する「DMM.R18アダルトアワード」も「FANZAアダルトアワード」と看板を掛け替え続行された。

この動きは全て、DMMがサッカー界に参入する直前に行われている。別の見方をすれば、サッカー界に参入するため、アダルト色を出来るだけ隠そうとしたとも言えるのではないか。しかし、“ドル箱”でもあるアダルト事業を完全に切ることはできず、子会社化した上で繋ぎ止める道を選んだという印象だ。

Jリーグ 写真:Getty Images

Jリーグにおけるスポンサー審査のハードル