② 情報の生産では「限界費用ゼロ」、つまりいくらでもタダでコピーできる。消費コストもゼロ。
③ 情報はそれを使用する人によって、また環境や状況によってその価値が大きく変る相対価値。
そして、こうした情報の持つ特性を推進したのがデジタル化だ。「デジタルの仕組みは、情報の性格そのものをむき出しにした」(P.31)。
デジタル化で“情報化”は第二段階に進み、ネットワーク化(皆と同じものを使っていることで得られる便利さや効用)が加わって、この分野での寡占化が進行した。
資本主義はこうして終るP.41に「資本主義の終焉」と題する図がある。これを文章にすると次のようになる。
① 情報は非競争財、つまり生産に競争がないから大きな投資の必要性が薄く、経済が成長しない。 ② ロックイン効果※1)で産業の寡占化が進む。 ③ デジタル情報技術の発展でモノの生産が縮小する。 ④ タダなので消費総額が減る。 ⑤ 生産消費者が大量に出現し市場を通さない経済活動が活発化する。 ⑥ ロボットの普及で人間の労働領域が減る⇒賃金総量の減少⇒消費の縮小。 ⑦ 経済のタービュランス化。
※1)一定以上のユーザーを集めるのに成功した情報産業は雪崩現象的に拡大する。顧客が他の企業に移りにくいからである。
少しコメントする。
②は情報分野のトップ企業が高利益になることの理由の一つだ。③から⑥は一連の流れだ。⑦のタービュランスとは乱気流のことだが、ここでは急激な景気変動のことだ。
情報とは何かここまで論を拡大してから、“情報とは何か”に立ち戻る。林雄二郎、野口悠紀雄、梅棹忠夫、クロード・シャノン、G・ベイリトンを紹介した後に、著者の“エネルギーの様相”が語られる。
モノと情報の違い①相対価値。②再生産費用ゼロ。③時間と空間の制限をほとんど受けない。
情報は、組み合わせ、関係性で別の新しい価値を生む(これはモノの世界でも認められる。使用価値が高まる)。